みなさんもご存じの通り、バイクは排気量が250cc以上の車両、クルマは問答無用で車検が必要となります。
※市販で売られている250ccは厳密に言えば248ccまたは249ccです。
まあ「車検とは」については、今更言う必要もないでしょう。
で、たびたび話題になる「ユーザ車検」ですが、ユーザ車検は安いからおススメって言う人がいます。
本当にそうなの?と疑問が湧いてきてしまったわけです。
今回は「ユーザ車検」と「ディーラ車検(ショップでの車検代行)」で金額にどのくらい差があるのかについて記載したいと思います。
目次
共通の出費
ユーザ車検であろうとディーラ車検であろうと共通して出ていく「お金」があります。
それが「税金」です。
税金は車両を持つ以上避けては通れない必要経費です。
では、いくらかかるのかを見ていきましょう。
重量税
重量税は次回車検の時期(初回3年分、2年目以降は2年分)まで一括で納付しなければならない税金です。
基本料金は年間1900円となっています。
新車購入の場合は、次回車検が3年後なので3年分を支払わなければなりません。
2年目以降は、2年分を支払わなければなりません。
つまり、新車購入時は1900円×3年で5700円の支払い
2年目以降は1900円×2年で3800円の支払い
今回は2年目以降として計算したいと思います。
自賠責保険
車検の時に支払うイメージのある自賠責保険ですが、期限が切れていれば車検の時に限らず早急に支払わなければなりません。
ただ、車両を入手時、中途半端に長い年月を契約すると忘れてしまうので車検の時期に合わせるのが一般的です。
自賠責は、契約期間が長ければ月額計算時の料金は安くなります。
車検が必要な排気量250cc以上のバイクの料金は以下のとおり (2020年 9月現在)
24か月契約:9680円
36か月契約:1万1900円
収入印紙
収入印紙は、車検の審査および車検適合証を発行する際に支払う手数料を指します。
初年度~13年目:3800円
ここまでの税金関係の費用
重量税:3800円 (2年目以降の場合)
自賠責:9680円 (2年払いの場合)
収入印紙:3800円
合計:17280円
車検時にかかる整備項目
税金は共通で支払わなければならない費用となりますが、整備費用は個別にかかります。
- ミラーの面積判定
- タイヤの状態判定
- エンジンオイル・フォークオイル漏れ判定
- 車検証に記載に内容に誤りがないかの判定
- 灯火類・ホーンの正常判定
- 排気ガス・騒音検査の判定
- スピードメーターの判定
- ブレーキ制動力判定
- 光軸・香料の正常性判定
ディーラ車検の場合、車検に出す前バイクショップで車検に最低限合格するための整備はやってもらえるのでユーザは気にする必要はありません。
しかし、ユーザ車検の場合は、事前にあらゆる整備を済ませておかなければなりません。
ユーザ車検をやる場合は、上記に挙げた内以下の項目の整備を済ませておきましょう。
- タイヤの状態
- エンジンオイル・フォークオイル漏れ判定
- 灯火類・ホーンの正常判定
- ブレーキ制動力判定
タイヤの状態
タイヤの状態は、そのままの意味です。
[タイヤに亀裂が無いか] [スリップサインが出ていないか] などがこれに該当します。
該当する場合車検を受ける前にタイヤの交換をしておきましょう。
エンジンオイル・フォークオイル漏れ判定
エンジンオイルの排出口には[ドレンボルト]という太いネジが刺さっています。
そしてそのドレンボルトにはパッキンが入っており、これを交換しないとオイルが漏れてしまうことがあります。
フォークオイルについては、フロントフォーク内に[オイルシール]がありこれも交換しないと走っているうちにフォークオイルが漏れだしてきます。
そうならないためには、2万キロ程度走ったらオーバーホールを行った方がいいでしょう。
灯火類・ホーンの正常判定
灯火類は、[ウインカー]や[ブレーキランプ]などが該当します。
左右のウインカーが正しく点滅するかやブレーキレバーを握った際にブレーキランプが点灯するかなどが検査の項目にあります。
球切れによってウインカーやブレーキランプが点灯しないと車検では不合格になります。
日頃からこれらの灯火類はチェックしておきましょう。
また、ホーンの正常判定はクラクションのボタンを押した際正しくクラクションが鳴ることが必要です。
バッテリーが劣化している場合、ホーンの音量が小さくなり車検に不合格になる場合があります。
ブレーキ制動力判定
ブレーキ制動力は、ブレーキをかけたとき規定の制動力があるか判定されます。
ブレーキパッドが摩耗していると正常な制動力を得られないため、車検で不合格になる場合があります。
ブレーキパッドの交換時期などについてはこちらをご確認ください。
ユーザ車検とディーラ車検の金額の差
ディーラ車検を受ける場合の金額については過去に記事を書いておりますので、以下をご参照ください。
ユーザ車検を受ける場合は、先述した税金関係程度なので約2万円と言ったところでしょう。
繰り返しになりますがユーザ車検を受ける場合は、事前に検査対象の項目について予め整備を自分でしておかなければなりません。
ただ、整備のやり方で金額が変わってきます。
例えば、先ほど記載した「事前に整備しておく項目」においてすべてバイクショップでやってもらったとすると[パーツ代+工賃]がかかります。
パーツ代はお店によって微妙に異なることがありますが、工賃はお店によってバラつきがあります。
工賃が一般的な料金のお店で記載した全項目をやってもらうと実はディーラ車検と大して変わらなかったりします。
ではユーザ車検のメリットは一体なんでしょう?
各整備項目をまとめてやれば出ていくお金もそれなりですからディーラ車検と変わらないのでメリットにはなりません。
ユーザ車検のメリット ①:車検代行費がかからない
ディーラ車検の場合は、自分の代わりに車検を受けに行ってくれるので、当然費用はかかります。
他人にやってもらうということは相手の手間賃つまり人件費がかかります。
人件費はどこに乗るかというと「車検代行費 (言い方はそれぞれ)」という形で支払うことになります。(これも含めて工賃とするところもあります)
一方、ユーザ車検は自ら車検を受けに行くのですから代行費はかかりません。
これにより車検代を安く抑えることができることからメリットと言えます。
ユーザ車検のメリット ②:一回に出ていくお金が少額
ディーラ車検をやるとなるとバイクショップで各種消耗品を一斉に交換することになります。
各種パーツ代とそれをやるにあたっての工賃と車検代行費がユーザに請求されるため、1回に出ていくお金は大きいです。
一方、ユーザ車検は日頃からチマチマ消耗品を交換するなどのメンテナンスをやっていればトータル的にみれば金額は同じでも一回に出ていくお金は少ないためお財布にも優しくメリットと言えるでしょう。
さらにタイヤ交換、オイル交換、電球交換など諸々自分でできますという人は、工賃がかからないことから更に安く済ませることが可能です。
ユーザ車検のデメリット
ユーザ車検ももちろんデメリットはあります。
以下にユーザ車検のデメリットを記載します。
- 不合格箇所のチェック
- 不合格箇所の是正処置
- 陸運局への輸送
上記のようにユーザ車検がデメリットとなりえるのは主に車検で不合格判定が出た場合です。
1つずつ見ていきます。
不合格箇所のチェック
車検で不合格判定となった場合、自分で不合格箇所をチェックをしなければなりません。
何がダメだったのかをチェックしないことには行動しようがありませんので、しっかり確認しましょう。
不合格箇所の是正処置
不合格箇所のチェックが済んだら今度は是正処置を行います。
不合格となった箇所を[どう是正すればよいのか] [いつ是正処置を行うのか]を考えなければならないのはデメリットです。
ディーラ車検の場合は整備士がユーザに「工賃はかかるが是正処置をするか」を聞いてくれるのでユーザは「お金の心配だけ」していればいいのに対し、ユーザ車検は自分で是正処置をしなければなりません。(自分でショップへ持っていくなり、自分でやるなりは好き好き)
例えば「光軸の誤差が規定範囲ではない」「スピードメーターの誤差が規定範囲内ではない」と言った自分で整備をすることが難しい部分で判定をもらうとディーラ車検の場合は、お金さえ払えばすぐに対応してくれます。
しかし、ユーザ車検の場合は、是正処置を行うにあたり時間もかかります。
また、不合格箇所を修正してもまたユーザ車検を受けに行くのに日程を調整しなければなりません。
陸運局への輸送
ユーザ車検を受けに行く人は自分のバイクを運転して陸運局へ行くことでしょう。
しかし、是正処置を行っている間に車検切れになったバイクを運転するのは法令違反です。
車検切れになったバイクを陸運局へ輸送するのには自身でトラックを用意し積み込みをするか、ディーラ車検に切り替えるかのいずれかを選択しなければなりません。
結局本来必要なかった出費が出てしまうのはデメリットと言えます。
もしそうなっても大丈夫なようにユーザ車検を受ける場合は、車検時期に気を付け余裕を持って行動することが大事と言えるでしょう。
まとめ
- メンテナンス対象にかかるお金はディーラ車検もユーザ車検もトータル金額は大して変わらない
- 車検代行費が無いため、ユーザ車検の方が安い
- ユーザ車検は、日ごろからメンテナンスをしていれば1回に出ていくお金が少ないことから大きなメリットである
- ユーザ車検において、不合格になると是正処置を行ったり、再車検を受けるためのスケジュールを組みなおさなければならないことはデメリットである
- バイクが車検切れになると陸運局への輸送が超絶だるい